
以前から、街中をトレーラーに牽引されていくコンテナのカッコよさに惹かれていた。
あのチョットくすんだペイント。あまり馴染みのないロゴ。そして、深い陰影をつくる折板。
この即物的で、いかにも物流の王道じゃけんね、という感じが好きだったのだ。
そこであるとき閃いた。
普通、建物は現場でつくるのが一般的だ。
現場で、穴を掘り、基礎のコンクリートを打ち、柱を建て、屋根を葺き、壁を塗り、サッシを入れる。
あ~めんどくさい。
どんなに早く工事を進めても、最低半年はかかる。
ならば、コンテナを使って建物をつくってみてはどうか?
コンテナは、あらかじめ工場で設備機器や家具までセットした状態で製作される。
現場では、基礎工事と設備配管の引き込み工事のみがおこなわれる。
そしてある日、コンテナがトレーラーに牽かれて現場にやってくる。
コンテナは、クレーンで吊られ基礎の上にセットされる。
あとは、なかの設備が使えるよう配管・配線工事をするだけで、その日から建物として使用できるようになる。
これだと、現場での仕事はせいぜい長くて1ヶ月だ。
オー、なんて素晴らしい、トレビアン!
でも、チョッと待てよ。
これでは、よく工事現場に置いてある灰色がかった現場小屋や、ハウスメーカーのユニットハウスと同じではないか。
ウムム、ヒジョーにヤバイ。
なにか、もっと強力な手を考えねば・・・・。
あー、そっかそっか、なにもコンテナだけでつくる事もないんだ!
キッチンとか、浴室、トイレ、寝室、クロゼットなど、設備や家具を集約的に配置したい部屋をコンテナに押し込め、リビングやダイニングなど広々としたスペースが欲しい部屋は、鉄骨やパネルでつくればいいんだ!
ビルディング用のカーテンウォールなんてのも良いかも。
これだと、コンテナオンリーで建てるより多少時間がかかってしまうが、それでも部材を工場製作しておけば、かなり短い工期で済むだろう。
そして、なによりコンテナを使って建物をつくるメリットは、そのコストの安さだ。
長さ6mのコンテナを新品で購入すると、約70万円。
中古品だと、20万円ほどで手に入る。
えーと、コンテナは幅が2.4mなので、長さが6mだとすると、14.4㎡。
ざっと4.35坪だ。
てことは、新品のコンテナでは躯体のみで16万円/坪という計算になる。
通常の木造住宅の躯体が、30万円/坪はかかることを考えると、かなりお得といえるのでは?
余ったお金で、猫脚の浴槽にするも良し、オーダーメイドのシステムキッチンを入れるも良し、大理石の洗面カウンターにするも良し、それはあなたのお好み次第・・・。
さらに住み始めてから何年か後に、この住宅の次なる特性が発揮される時がやってくる。
ある時、あなたは突然会社から、ニューヨーク支社への転勤を命じられる。
今の日本では土地は売れても、そこに建っている住宅の価値はないに等しい。
あ~、セッカク手塩にかけてつくりあげた家を取り壊さなければいけないのか~。
しかし、落胆することはありません。
電話すべきは解体屋さんではなく、横浜南本牧にある世界最大のコンテナ運輸会社マースクシーランド社。
そうです。家をまた分解し、コンテナ船にのっけてアメリカに送ってしまうのです。
あなたが、ニューヨーク支社へ赴任してきた時は、パナマ運河を通って、はるばるやって来た以前の家があなたを迎えてくれるでしょう。
こんなフレキシブルに変化する家を、MoCo House(モコハウス、Moving Container Hose、移設可能なコンテナの家)と名付けました。
いつかこの家が太平洋の東と西を、あっちに行ったり、こっちに来たりするようになったらいいな~。(剛)
Murao Design Works:MoCo Houseのページ。
MAERSK SEALAND:世界最大のコンテナ運輸会社マースクシーランド社。
Home-Room:志田茂氏考案のLWH(ライトウェイトハウス)。
Jones,Partners:コンテナを使ったPRO/conシステム・パッケージ・ハウス。
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